地域経済概況

No.458 平成21年6月

最近の経済動向と金融情勢

(国内経済の動き)
 6月の月例経済報告では、「景気は、厳しい状況にあるものの、一部に持ち直しの動きがみられる。」とし、基調判断を2か月連続で上方修正した。
 国内の生産動向をみると、4月の鉱工業生産指数は化学工業、電子部品・デバイス工業、輸送機械工業等が上昇し、一般機械工業、石油・石炭製品工業、電気機械工業等が低下した結果、前月比+5.9%、前年同月比▲30.7%となった。
 個人消費は、弱い動きとなっているものの、一部に下げ止まりの兆しもみられる。5月の全国百貨店の売上高は、15か月連続のマイナスで前年同月比▲12.3%となった。5月は、政府による景気判断の上方修正や株価の回復など、全般的な経済情勢は改善傾向を示し始めたものの、失業率の上昇や所得の減少から消費者の生活防衛意識は依然強く、主力の衣料品や高額品を中心に売上不振の厳しい状況が続いている。
 5月の新車販売台数は、軽自動車が前年同月比▲18.4%と7か月連続のマイナスとなり、普通乗用車等も同▲19.4%となった結果、全体では同▲19.0%となった。
 4月の住宅着工戸数は、持家が前年同月比▲15.8%、貸家が同▲33.0%、分譲住宅が同▲54.3%とともに減少した結果、全体でも同▲32.4%の66千戸と5か月連続の減少となった。
 設備投資は、大幅に減少している。5月の機械受注は4月に引き続き大幅に減少しており、内需が前年同月比▲77.8%、外需が同▲80.4%となり、全体では同▲79.3%となった。
 月例経済報告による今後の見通しは、「当面、雇用情勢が悪化するなかで、厳しい状況が続くとみられるものの、在庫調整圧力の一層の低下や経済対策の効果が景気を下支えすることに加え、対外経済環境が改善することにより、景気は持ち直しに向かうことが期待される。一方、生産活動が極めて低い水準にあることなどから、雇用情勢の一層の悪化が懸念される。加えて、世界的な金融危機の影響や世界景気の下振れ懸念など、景気を下押しするリスクが存在することに留意する必要がある。」としている。


県内主要経済統計(21年5月)(単位:前年比、%)
  鉱工業
生産
住宅着工
戸数
公共工事
請負額
大型小売店
売上高
乗用車新車
登録台数
企業倒産
件数(件)
20/ 1~ 3 r -1.4 -9.3 -21.9 -0.2 -0.7
20/ 4~ 6 r -2.3 -12.0 -21.3 -0.0 -2.1
20/ 7~ 9 r -3.9 14.4 -4.0 2.1 0.3
20/10~12 -14.8 -5.0 -16.5 0.4 -23.7
21/ 1~ 3 P -37.5 -25.5 8.0 -2.6 -35.1
             
20/12 -19.3 -18.1 -30.0 -1.0 -31.7 18
21/ 1 r -32.8 -33.6 -20.3 -0.5 -37.7 21
2 r -40.0 -35.7 11.8 -3.9 -33.5 26
3 P -39.3 -5.0 25.8 -3.6 -34.8 23
4   -33.9 21.5 -0.7 -32.5 22
5         -18.0 16
資料出所 長野県 長野県 東日本
建設業保証
日本銀行
松本支店
長野運輸支局 東京商工
リサーチ

(日銀松本支店まとめ)

P:速報値 r:訂正
(注)大型小売店売上高は、店舗調整前の計数


(県下経済の動き)
 県内経済は、悪化を続けているが、そのテンポは徐々に和らいでいる。生産は引き続き減少しているが、一部で下げ止まりつつある。また、雇用・所得では、労働需給が一段と悪化する中で、雇用者所得は減少している。
 5月の資金需要は、一般企業向け個人向けともに前年を下回り、地公体向けは前年を上回ったが、依然として弱い状況が続いている。
 5月の県下における負債総額1,000万円以上の企業倒産(内整理を含む)は、件数は16件で前月比▲6件(前年同月比+3件)、負債総額は43億円で前月比▲98億円(前年同月比+26億円)となった。産業別では建設業が5件と最も多く、続いて卸売業、小売業が3件、製造業、サービス業他が2件、不動産業が1件であった。

(東京商工リサーチ調べ)

5月の産業動向

製造業
(食料品)
 飲料等の受注・生産は、主力のペット飲料の生産がミネラルウォーター・茶系飲料を中心に増加したため、前月比、前年同月比ともに上回った。ハム・ソーセージ製品の生産は、ほぼ前年並みで推移している。
(繊維)
 ニット関係は、例年生産の落ち込む時期であり、業界全体としても低調な生産となっている。消費者の購買意欲の低迷により、引き続き利益確保の厳しい状態が続くと予想される。
(木材・木製品)
 木材の受注・生産は、引き続き低水準に推移しており業界の動向は芳しくなく、特に建築物の需要は伸び悩んでいる。
(輸送用機械)
 自動車部品は、環境対応自動車向けは増加しているものの、一般自動車向けが減少していることから、生産は引き続き低水準で推移している。
(精密機械)
 レンズの受注・生産は、大手メーカーの減産の影響による受注の減少等により、全体としては減少傾向が続いている。
建設業
 4月の新設住宅着工戸数は、持家が前年同月比▲12.2%、貸家が同▲42.7%、分譲が同▲77.7%となった結果、全体では同▲33.9%と6か月連続で減少した。
商 業
 5月の県下新車登録台数(除く軽自動車・二輪車)は乗用車が前年同月比▲18.0%、全体では同▲20.9%と10か月連続の減少、軽自動車は同▲19.4%と7か月連続の減少となり、全体(含む軽自動車・二輪車)では同▲20.2%と10か月連続の減少となった。
観 光
 5月の白馬山麓の入り込み状況は、天候に恵まれたものの、雪不足の影響により例年は滑走可能である標高の高いゲレンデのコンディションが悪く、スキー客等の入り込みが低調であったことや、新型インフルエンザの影響による修学旅行のキャンセルが目立ち、前年同月比▲26.2%となった。大町・黒部方面は、同地域を舞台としたドラマの影響や、善光寺御開帳によるパックツアーの増加および高速道路低料金化の影響により、前年同月比+12.4%となった。上高地では、県道上高地公園線の通行止めや新型インフルエンザ等の影響により、前年同月比▲44.5%と大幅に減少した。
 長野県がまとめた今年のゴールデンウィーク(4月25日~5月6日)における県内主要観光地の延べ利用者数は、前年と比較して、増加が14か所、前年並みが4か所、減少が7か所であった。なかでも、御開帳の開催により、善光寺(長野市)、元善光寺(飯田市)の延べ利用者数は大きく増加した。

北から南から

列車で訪ねる絶景の地-姨捨

 姨捨(おばすて)は、千曲川西岸に位置する地区である。姨捨といえば、老いて労働力のない老人を口減らしのために捨てたとする「棄老伝説」が有名だが、実際にはこの地域でそのような風習があったという記録は残っていない。姨捨が棄老伝説の里として文献に登場するのは「大和物語」(956年)が最初で、古くから伝説と共にその名も知られてきた。かつては、松尾芭蕉を始めとする多くの文人・歌人が来訪し、この地の情緒あふれる風景を称えている。

 なかでも同地区にある姨捨駅は、数ある絶景スポットのうちの1つとして知られる。眼下に広がる善光寺平と中央を流れる千曲川、そして国の名勝である棚田がつくり出す風景は「日本三大車窓」の一つに数えられ、この景観のために訪れる人々も多い。2007年の日本経済新聞社によるアンケート調査では、その美しい景観が評価され、「訪ねる価値のある駅」の全国第二位に選ばれている。夜には、千曲川に架かる橋の上を車のヘッドライトの光が流れ、遠景に長野市街地の灯りが一面に煌く様子が美しい。また、近隣の姨捨サービスエリアからの眺望は「夜景100選」の一つに数えられ、都会の夜景とは異なった、幻想的な美しい眺望を楽しむことができる。

 更に、同駅は全国でも珍しい「スイッチバック」が残る駅としても有名である。姨捨駅までの路線は急な勾配が続き、途中に駅を設置することが困難であった。そのため、列車は一度駅を通り過ぎて引込線に進み、ゆっくりと後退して、線路脇の土手の上に造られた平坦なホームに停車する。急勾配によるスイッチバック駅は全国でも数少なくなっており、現在ではとても貴重な存在である。

  ホームの椅子は線路を背にして配置され、列車を待つ間に景色を眺められるように工夫されている。小さな無人駅ではあるが、ただ通り過ぎてしまうのはもったいない。ホームに降り立って、ゆっくりと景観を楽しむのも良いだろう。

写真提供:千曲市観光協会

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