地域経済概況

No.461 平成21年9月

国内経済の動き

 9月の月例経済報告では、「景気は、失業率が過去最高水準となるなど厳しい状況にあるものの、このところ持ち直しの動きがみられる。」とし、2か月連続で基調判断を据え置いた。
  国内の生産動向をみると、7月の鉱工業生産指数は、輸送機械工業、鉄鋼業、化学工業等が上昇し、情報通信機械工業、電子部品・デバイス工業、食料品・たばこ工業等が低下した結果、前月比+2.1%、前年同月比▲22.7%となった。
  個人消費は、経済対策の効果もあって、このところ持ち直しの動きがみられる。消費者マインドは、低水準ながら持ち直している。8月の全国百貨店の売上高は、18か月連続のマイナスで前年同月比▲8.8%となった。雇用情勢と所得環境の悪化、更には天候不順などのマイナス与件の中で、高額品や盛夏商材を中心に引き続き厳しい売上動向となったが、セールや集客催事の強化など各店の対策効果が下支えしたこともあって、売上減少幅は前月に比べ改善する結果となった。
  8月の新車販売台数は、軽自動車が前年同月比▲5.1%と10か月連続のマイナスとなったが、普通乗用車等が同+2.3%となった結果、全体では同▲0.5%となった。
  7月の住宅着工戸数は、持家が前年同月比▲12.2%、貸家が同▲36.0%、分譲住宅が同▲50.1%とともに減少した結果、全体でも同▲32.1%の65千戸と8か月連続の減少となった。
  設備投資は、減少している。8月の機械受注は7月に引き続き大幅に減少しており、内需が前年同月比▲71.8%、外需が同▲70.9%となり、全体では同▲71.3%となった。
  月例経済報告による今後の見通しは、「当面、雇用情勢が悪化するなかで、厳しい状況が続くとみられるものの、在庫調整の一巡や経済対策の効果に加え、対外経済環境の改善により、景気は持ち直しに向かうことが期待される。一方、生産活動が極めて低い水準にあることなどから、雇用情勢の一層の悪化が懸念される。加えて、世界的な金融危機の影響や世界景気の下振れ懸念など、景気を下押しするリスクが存在することに留意する必要がある。」としている。

県内経済の動き

県内経済は、生産は持ち直しているが、一方、雇用・所得では、労働需給が厳しい状況にある中で、雇用者所得は大幅に減少しており、全体として下げ止まっている。

県内主要経済統計(21年8月)(単位:前年比、%)
  鉱工業
生産
住宅着工
戸数
公共工事
請負額
大型小売店
売上高
乗用車新車
登録台数
企業倒産
件数(件)
20/ 4~ 6 -2.3 -12.0 -21.3 -0.0 -2.1
20/ 7~ 9 -3.9 14.4 -4.0 2.1 0.3
20/10~12 -14.8 -5.0 -16.5 0.4 -23.7
21/ 1~ 3 -37.5 -25.5 8.0 -2.6 -35.1
21/ 4~ 6 P -33.1 -29.6 2.6 -1.2 -21.5
             
21/ 3 -39.3 -5.0 25.8 -3.6 -34.8 23
4 -34.4 -33.9 21.5 -0.7 -32.5 22
5 r -35.7 -23.4 -19.5 0.8 -18.0 16
6 P -29.3 -30.2 6.3 -3.5 -13.8 15
7   -33.2 47.2 -3.8 -9.3 12
8         -0.3 16
資料出所 長野県 長野県 東日本
建設業保証
日本銀行
松本支店
長野運輸支局 東京商工
リサーチ

(日銀松本支店まとめ)

P:速報値 r:訂正
(注)大型小売店売上高は、店舗調整前の計数

県内の雇用情勢

7月の雇用情勢は、月間有効求人倍率(季節調節値)は0.39倍となり、過去最低となった前々月、前月と同率、対前年同月比で0.64ポイント下回った。新規求人数は、対前年同月比▲32.1%となり、産業別では、「建設業」「製造業」「卸売・小売業」「宿泊業・飲食サービス業」「サービス業」などで前年同月を大幅に下回った。一方、新規求職者数は、対前年同月比+22.3%となった。

県下の倒産状況

8月の県内における負債総額1,000万円以上の企業倒産(内整理を含む)は、件数は16件で前月比+4件(前年同月比+5件)、負債総額は207億円で前月比+173億円(前年同月比+167億円)となった。産業別では建設業が5件と最も多く、続いて製造業が4件、サービス業他が3件であった。(東京商工リサーチ調べ)

県内の産業動向
製造業
(食品)
中元商戦は前年をやや下回る状況であったが、食肉加工品等においては、食の安全に対する認識が高まったことにより、無添加製品を中心に売上高の増加が見られた。製粉・製麺においては、天候不順等による季節商品の伸び悩みが見られた。全体的には、低価格品に対して、消費者のニーズが高まっている。
(金属製品)
全般的に中国、東南アジア市場からの受注は回復傾向にあるが、欧米市場の回復が遅れている。メッキ業において、電子部品、基板関連にわずかながら持ち直しの動きがみられる。
(はん用・生産用・業務用機械)
工作機械の生産は、国内外の自動車・産業用機械向けの急激な減産を受け大幅に減少しているが、工作機械周辺部品は、大手メーカーの在庫調整が進んでいることから、工場稼働率は改善されつつあり、受注状況についても、底打ち感がみられ、やや増加の兆しも出てきた。自動車部品関連は、ハイブリッド車、減税対象車を中心に受注は増加傾向である。光学機器レンズは、中国の富裕層向けの高額カメラ・レンズ需要があり、増加している。
(電気機械)
電子部品の生産は、自動車、デジタル家電、パソコンおよび携帯電話向けを中心に、ハイブリット自動車に対する需要や、中国内需の持ち直しのほか、在庫調整の進捗等から、持ち直している。韓国メーカー等から、中国向け製品の部品調達として受注の増加が見られ、工場の稼働率は改善しているが、受注単価は低下している。
(その他製造業)
自動車部品関連の工業用ゴム、プラスチック成型においては、ハイブリッド自動車、減税対象車の増産により、受注は回復、増加傾向である。
建設業
7月の新設住宅着工戸数は、持家が前年同月比▲7.3%、貸家が同▲54.6%、分譲が同▲59.4%となった結果、全体では同▲33.2%と9か月連続で減少した。個人住宅を含めた民間工事は、需要の低迷が続いており、当面厳しい状況が続く見通しであるが、医療・福祉業界において、若干設備投資の動きがみられる。
公共工事は、補正予算の前倒し執行等により前年同月比プラスで推移し、今後も市町村等からの小中学校の耐震工事等の発注増加が見込まれる。しかし、低価格での入札競争により収益面では厳しい状況が続いている。
卸売業
卸売業界は、各業界の低迷を受け、売上高は減少傾向である。素材原材料は、製造業界の一部に底打ち感はあるものの、当面、底ばいで推移する見通しである。建設資材は、建設の不振で引続き低調である。なお、一部鋼材単価がやや上昇している。
小売業
(自動車小売)
卸売業界は、各業界の低迷を受け、売上高は減少傾向である。素材原材料は、製造業界の一部に底打ち感はあるものの、当面、底ばいで推移する見通しである。建設資材は、建設の不振で引続き低調である。なお、一部鋼材単価がやや上昇している。
(百貨店、スーパー)
8月は例年お盆・夏休み等により12月に次いで売上が伸張する月であるが、景気悪化による消費マインドの低下、冷夏の影響などから、思うように売上は伸びず、対前年比でマイナスの状況が続いている。特にスーパー等小売店においては、消費者の低価格志向が強まっており、客数は増加しているが客単価は減少している。
観光
8月の白馬山麓の入り込み状況は、キャンプやトレッキング目的の観光客が目立ったが、新型インフルエンザや悪天候の影響により、前年同月比▲3.9%となった。大町・黒部方面は、高速道路低料金化の影響に加え、同地域を舞台としたドラマや映画に関連して、報道等で黒部に関する情報が大きく取り上げられたことにより、前年同月比+10.0%となった。上高地は、月の前半に天候不順が続いたことで入り込みが低調となり、前年同月比▲5.4%となった。

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