No.462 平成21年10月
国内経済の動き
10月の月例経済報告では、「景気は、持ち直してきているが、自律性に乏しく、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にある。」とし、3か月連続で基調判断を据え置いた。
国内の生産動向をみると、8月の鉱工業生産指数は、鉄鋼業、電子部品・デバイス工業、輸送機械工業等が上昇し、プラスチック製品工業、精密機械工業、金属製品工業等が低下した結果、前月比+1.6%、前年同月比▲19.0%となった。
個人消費は、経済対策の効果もあって、持ち直しの動きが続いており、消費者マインドは、低水準ながら持ち直している。9月の全国百貨店の売上高は、19か月連続のマイナスで前年同月比▲7.8%となったが、地方都市の一部において下げ止まりの傾向が見られたほか、値頃商材の拡大や催事の強化など各店の対策効果が下支えしたこともあって、売上減少幅は前月比で改善する結果となった。
9月の新車販売台数は、軽自動車が前年同月比▲5.9%と11か月連続のマイナスとなったが、普通乗用車等が同+3.5%となった結果、全体では同+0.2%となった。
8月の住宅着工戸数は、持家が前年同月比▲20.0%、貸家が同▲42.2%、分譲住宅が同▲53.5%とともに減少した結果、全体でも同▲38.3%の59千戸と9か月連続の減少となった。
設備投資は、減少している。9月の機械受注は8月に引き続き大幅に減少しており、内需が前年同月比▲55.6%、外需が同▲65.8%となり、全体では同▲61.9%となった。
月例経済報告による今後の見通しは、「当面、雇用情勢が悪化傾向で推移するものの、海外経済の改善などを背景に、景気の持ち直し傾向が続くことが期待される。一方、雇用情勢の一層の悪化や海外景気の下振れ懸念、金融資本市場の変動の影響など、景気を下押しするリスクが存在することに留意する必要がある。」としている。
県内経済の動き
県内経済は、生産は持ち直しているが、一方、雇用・所得では、労働需給が厳しい状況にある中で、雇用者所得は大幅に減少している。
なお、企業の業況感は、環境対応自動車およびエコ家電向け需要や中国向け需要の増加を背景に、持ち直しに転じつつある。
| 鉱工業 生産 |
住宅着工 戸数 |
公共工事 請負額 |
大型小売店 売上高 |
乗用車新車 登録台数 |
企業倒産 件数(件) |
|
|---|---|---|---|---|---|---|
| 20/ 4~ 6 | -2.3 | -12.0 | -21.3 | -0.0 | -2.1 | - |
| 20/ 7~ 9 | -3.9 | 14.4 | -4.0 | 2.1 | 0.3 | - |
| 20/10~12 | -14.8 | -5.0 | -16.5 | 0.4 | -23.7 | - |
| 21/ 1~ 3 | -37.5 | -25.5 | 8.0 | -2.6 | -35.1 | - |
| 21/ 4~ 6 | r -33.0 | -29.6 | 2.6 | -1.2 | -21.5 | - |
| 21/ 4 | -34.4 | -33.9 | 21.5 | -0.7 | -32.5 | 22 |
| 5 | -35.7 | -23.4 | -19.5 | 0.8 | -18.0 | 16 |
| 6 | r -29.3 | -30.2 | 6.3 | -3.5 | -13.8 | 15 |
| 7 | P -27.3 | -33.2 | 47.2 | -3.8 | -9.3 | 12 |
| 8 | -37.4 | 23.1 | -5.3 | -0.3 | 16 | |
| 9 | 13 | |||||
| 資料出所 | 長野県 | 長野県 | 東日本 建設業保証 |
日本銀行 松本支店 |
長野運輸支局 | 東京商工 リサーチ |
(日銀松本支店まとめ)
P:速報値 r:訂正
(注)大型小売店売上高は、店舗調整前の計数
県内の雇用情勢
8月の雇用情勢は、月間有効求人倍率(季節調節値)は0.38倍と前月より0.01ポイント、前年同月比で0.59ポイント低下し、過去最低の水準となった。新規求人数は、対前月比▲12.7%、対前年同月比▲33.1%となり、産業別では、「建設業」「製造業」「卸売・小売業」などの主要産業で、前年同月を大幅に下回った。一方、新規求職者数は、対前年同月比+14.5%となった。
県下の倒産状況
9月の県内における負債総額1,000万円以上の企業倒産(内整理を含む)は、件数は13件で前月比▲3件(前年同月比+1件)、負債総額は36億円で前月比▲170億円(前年同月比+3億円)となった。産業別では建設業が5件と最も多く、続いてサービス業他が3件であった。(東京商工リサーチ調べ)
県内の産業動向
- 製造業
- (食品)
- 食肉加工品等においては、内食化の影響により精肉関連に売上高の増加が見られた。無添加製品は、食の安全に対する認識が高まっていることから売上高の増加傾向が見られる。全般的に、「良質・安価」への消費者のニーズが高まっている。
- (金属製品)
- 全般的に中国市場からの受注は回復傾向にあるが、欧米市場の回復が遅れており、一部では依然として減少の傾向も見られる。メッキ業においては、電子部品、基板関連に持ち直しの動きがみられるが弱いものとなっている。
- (はん用・生産用・業務用機械)
- 光学機器関連は、液晶プロジェクターなどデバイス品が回復傾向である。自動車部品関連は、ハイブリッド車、減税対象車を中心に受注は増加傾向である。大型の設備投資の回復にはまだ時間がかかると考えられているが、工作機械周辺部品は、在庫調整が進んでいることから、工場稼働率は改善され、やや増加の兆しも出てきた。
- (電気機械)
- 電子部品の生産は、東アジア、北米市場において回復傾向が見られる。特に、プリント基板については、中国市場における家電用、携帯電話用の需要が増加し、コンデンサについては、家電向け製品の世界的な受注増加から工場の稼働率は改善している。一方、中国市場向け製品の増加により受注単価は低下している。
- (その他製造業)
- 工業用ゴム、プラスチック成型においては、ハイブリッド自動車、減税対象車の増産により、自動車部品関連を中心に受注は回復、増加傾向である。今後は、エコ関連製品として、太陽光発電システム部品等の受注増加が見込まれる。
- 建設業
- 8月の新設住宅着工戸数は、持家が前年同月比▲16.8%、貸家が同▲56.0%、分譲が同▲54.4%となった結果、全体では同▲37.4%と10か月連続で減少した。個人住宅を含めた民間工事は、需要の低迷が続いており、当面厳しい状況が続く見通しである。公共工事は、9月までは補正予算の前倒し執行等により前年同月比プラスで推移してきたが、今後は政権交代、補正予算凍結の影響があることから先行きは不透明である。
- 卸売業
- 卸売業界は、各業界の低迷を受け、売上高は厳しい状況が続いている。素材原材料は、製造業界に底打ち感はあるものの、工作機械、建設機械向けなどについては、当面、底ばいで推移する見通しである。建設資材は、建設業界の低迷で更なる不振も予想される。なお、銑鉄・コークス等一部については素材単価の値下げが見込まれる。
- 小売業
- (自動車小売)
- 9月の県下新車登録台数(除く軽自動車・二輪車)は、乗用車が前年同月比▲1.5%、全体では同▲5.7%と14か月連続の減少、軽自動車は同▲3.1%と11か月連続の減少となり、全体(含む軽自動車・二輪車)では同▲5.1%と14か月連続の減少となった。
- (百貨店、スーパー)
- 景気悪化による消費マインドの低下、雇用者所得の大幅な低下などから、外食から内食への傾向は強まっているが、売上高は対前年比でマイナスの状況が続いている。特にスーパー等小売店においては、消費者の低価格志向が強まっており、客数は増加しているが客単価は減少している。集客力を高めるため、営業時間の延長、催事・セールの強化等の対応が見られる。
- 観光
- 9月の白馬山麓の入り込み状況は、トレッキングや散策目的の観光客が目立ち、前年同月比+101.0%となった。大町・黒部方面は、同地域トップシーズンの到来により入り込みが増加し、前年同月比+93.8%となった。上高地方面についても前年同月比+16.6%となった。各観光地ともに天候に恵まれ、高速道路低料金化にシルバーウィークが重なったことから、大きく客足を伸ばした。






