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Vol.3 家族信託は役に立つ?必要ない??誰に相談したらいいの???制度利用者の声を聞いてみよう。

印刷用ページを表示する 2022年1月4日更新

家族信託 利用者の声

家族信託とは、保有する資産の管理や処分を家族に託す仕組みです。

信託法改正に伴い利用しやすくなった仕組みで、近年注目を集めています。家族信託は、もし自分が事故や病気で、資産を管理できなくなったときの備えになります。信託といっても、家族間の利用が想定されているため、報酬は発生しません。誰でも気軽に利用できます。

今回は家族信託のメリットを踏まえたうえで、家族信託を実際に利用した方の声を紹介します。なお、家族信託には、下記の人物がかかわります。

「委託者」:受託者に資産を託す人
「受託者」:託された資産の管理処分を行う人
「受益者」:託された資産から発生する利益を受け取る人

本文で使用するため、事前に確認していただけると幸いです。

家族信託のメリット

家族信託には、遺言や成年後見人制度と異なったメリットがあります。
ここからは家族信託のメリットを4点ご紹介します。

認知症対策

資産の所有者が認知症を発症すると、ご本人で預金の引き出しや解約などの手続きができなくなります。認知症を患った方の名義の資産を、他の家族が勝手に処分することは認められていません。そのため、他の家族が代わりに銀行口座からお金を引き出すことも、不動産を売却することもできません。家族信託は、資産の管理や処分の権限を家族に託し、突然の事態に備えます。権限を前もって託しておけば、資産の所有者(委託者)の認知機能が低下した場合も家族(受託者)がその資産を動かせます。

複数の代にわたり資産の継承先の指定できる

家族信託は、資産の所有者(委託者)が亡くなった際に資産をもらう人(残余財産帰属権利者)を指定できるという、遺言と同じ機能があります。さらに、受益者を息子へ、息子が亡くなったときは孫へ、と2次相続以降の資産承継者も指定可能です。遺言の効力は所有者が亡くなったときに発生しますが、家族信託の効力は契約時点からです。そのため、資産の所有者(委託者)がまだご存命の間の資産の管理から、その後所有者がお亡くなりになった後の継承の道筋までを所有者の意向を反映させて定めることができます。なお、家族信託の対象外の資産については、遺言書との併用を推奨しています。

成年後見人制度より、制約や負担が少ない

家族信託は成年後見制度より柔軟な資産管理ができます。成年後見制度は、被後見人にとって必ずしもプラスにはならない不動産売却や相続税対策はできません。家族信託であれば、親(委託者)が決めた資産管理に対する考えに従い、子(受託者)が柔軟に対処ができます。家族(受託者)に柔軟な裁量を与えられるとともに、事務負担や費用負担(※)も少なくできる点が成年後見人制度と家族信託の違いです。(※費用負担については個々の事情により異なります)

相続で起こる遺族の負担を軽減

家族信託によって財産の継承者を決めておくことで、信託財産については、相続が発生した時の遺産分割協議が不要になります。被相続人が亡くなってから遺産分割協議を始めると、意見のすり合わせが難しく、相続人同士で揉めてしまうこともあります。家族信託は生前からすでにその契約内容は家族内の同意を得ているため、承継の段階で揉める事にはなり難いと言えます。

家族信託を実際に利用した方の声

それでは実際に家族信託を利用した方のエピソードを紹介します。
家族信託の具体的なイメージを掴み、活用方法を検討する際の参考にしてください。

Aさんの場合:お子さんからのすすめ

資産管理

 Aさんは長野県で一人暮らし。 
夫は5年前に他界しており、息子さん家族は関西で暮らしています。 
息子さんは、ここ1、2年でAさんの体力の低下や日常生活における判断力の低下を感じ、不安を覚えています。 
Aさんに息子家族と同居の意思はなく、体が動く限りは思い出のある自宅で過ごすつもりです。 
ずっと後回しにしていたことですが、思い切って息子さんはAさんと話し合うことに。 
息子さんは、家族信託を活用して不動産などの資産について自分が管理することをAさんにすすめました。
Aさんも息子さんや相談した司法書士からの丁寧な説明を受け、家族信託を利用することにしました。

解説

Aさんの住まれている実家の土地建物、まとまった現金を息子さんに信託し、息子さんがAさんに代わり不動産や現金を管理することになりました。息子さんが受託者、Aさんが委託者です。これにより、将来Aさんが認知症を患われたとしても、息子さんが生活費や医療費、介護費用などを信託した資金から引き出せます。信託しても一切贈与税等がかからないことも安心材料となりました。Aさんが亡くなったら信託契約が終了し、残った資産は息子さんに帰属します。

Bさんの場合:孫の代のことまで考えたい。

 【エピソード】

Bさんは現在長野県に居住しており、自分名義の自宅で長男夫婦と同居しています。長男夫婦には子供はいません。

次男夫婦も県内で、妻と子どもの3人で生活されています。

Bさんは自宅に加えてアパートを2棟所有しており、その収益で生活が成り立っています。先祖代々引き継いできた不動産なので、相続に関しては自宅・アパートを長男夫婦に引き継ぎ、長男夫婦亡き後は、次男夫婦の子供である孫に継いでもらいたいと思っています。また、アパートの運営がだんだんと大変に感じるようになり長男夫婦に任せたいとも考えています。

自分亡き後、長男夫婦が次男の子ども(甥)に不動産を譲ると遺言してくれれば問題はないですが、きちんとした約束はできません。また、自分がこのままずっと元気でいられるかも自信がなくなってきました。

長男と次男が相続で揉めることを防ぐために、不動産管理を円滑に行い続けるために長男・次男とも相談し、家族信託を利用することにしました。

解説

Bさんの希望は「相続で揉めてほしくない」「長男夫婦のあとには孫に不動産を残したい」「不動産管理を任せたい」という3点です。家族信託は遺言では不可能な二次相続以降の承継人指定ができます。Bさんは、元気な長男夫婦が不動産管理も行い、その後は孫に引き継がれるよう指定しました。家族信託によって、Bさんの希望である相続で揉めない、みんなが幸せになれる相続が実現できるようになりました。

家族信託の相談なら長野銀行

家族信託のご利用を検討されている方は、ぜひ長野銀行にご相談ください。

長野銀行なら、相続のお悩みや家族信託が必要かなどご相談いただけます。もし家族信託が最適な解決だとなれば一般社団法人家族信託普及協会の経験豊富な専門家をご紹介することもできます。専門知識が無くても問題ありません。さらに、原則長野県内にお住まいの方であれば家族信託預金口座の開設も可能です。一度お気軽にお申し付けください。

プロフィール

宮田浩志氏宮田浩志(みやた・ひろし)

司法書士・行政書士
宮田総合法務事務所代表。

後見人等に多数就任中の経験を活かし、家族信託・遺言・任意後見等の仕組みを活用した「認知症による資産凍結対策」「争族対策」「親なき後問題」について全国からの相談が後を絶たない。
特に家族信託のコンサルティング分野では先駆的な存在で、日本屈指の相談・組成実績を持ち、全国でのセミナー講師、TVへの出演依頼、新聞・雑誌への寄稿も多数。
著書に『改訂新版 相続・認知症で困らない家族信託まるわかり読本』、『図解 2時間でわかる!はじめての家族信託』など。

 Webサイト

宮田総合法務事務所 

個人信託・家族信託研究所

一般社団法人家族信託普及協会